不眠症は楽じゃない!

元・不眠症、現・睡眠健康指導士の睡眠コラム

不眠症として社会で生きるということ

 

不眠症として社会で生きるのはとても過酷だ。

 

まず肉体的につらい。

不眠症の人は人より睡眠時間が短かったり、睡眠の質が悪いので昼間はとにかく眠たい。

 

そして体がだるい。頭が重い。

 

僕は毎日37.5度の微熱が出ている状態に近いと思っている。

37.5度でも会社や学校にもまあいける。

 

でもこれが毎日だったらどうだろうか?

微熱が何ヶ月、何年、何十年も続くと想像するとどうだろう?

 

しかも、微熱に近い状態で無理してやってるんだから、

悪化して38度や39度の高熱みたいな体調になる時もよくある。

 

次に精神的につらい。

毎日寝れないということは周りが思っている以上にストレスがたまるのだ。

 

誰しも寝れない夜を一度や二度経験したことがあると思う。

特に次の日に大事な予定がある日はなかなか緊張し、眠れないものだ。

それが毎日続くと想像してみるとどうだろう?

あの焦りやイライラを毎晩経験しなければいけないとしたら、あなたはどう感じるだろうか?

 

それに加え、眠るという周りが当然にできていることを自分ができないということにはかなりのイラ立ちや無力感を感じる。

不眠症の人は一日の最後にいつも失敗体験を繰り返したりしているのだ。

 

そして、最もつらいのが孤独であるということだ。

 

不眠症は日本の国民病と言われ、5人に1人が不眠症や睡眠に何らかの問題があると言われている。

しかし、自分の周りに不眠で悩んでいるがいるのを知っている人がどれくらいいるだろうか?

 

不眠症の人はほとんど周りに相談しないと言う。

 

僕も不眠症に関しては基本的に周りに相談しない。

 

相談しても「神経質すぎる」とか「疲れてないだけでしょう?」とか「俺はもっと寝てない。甘えるな」とか言われるのがオチだからだ。

 

おそらく普通の人にとって、睡眠が当然のことすぎて、眠れないということがどういうことかわからないのだと思う。それは仕方ないことなのだと思う。

当事者にしかわからない苦しみはどの病気にもあると思う。

 

友人や家族に相談できないならば専門家である病院に行くという手もあるのだが、不眠症の人は半数以上が病院にいかないと言う。

 

それは睡眠薬へのネガティブな認識があるからだ。

昔睡眠薬で薬害があったり、よく自殺の手段として睡眠薬を大量服用するなどの報道があり、日本人は睡眠薬に対してとてもネガティブな印象を持っている。

 

実際は、最近の睡眠薬は安全で期間や服用量を守って使用すれば副作用等もほとんどなく不眠の改善の効果が見られる。

 

実は寝酒のほうが睡眠薬より恐ろしいくらいなのだ。

 

ただこの事実を知っても多くの人は病院に行かないと思う。

なぜなら不眠で病院にかよっており、しかも睡眠薬を飲んでいるなんて周りに知られたら変な目で見られるのではないかという不安があるからだ。

 

周りにも相談できず、病院にも相談できず、

一人で今日も寝れない日々を過ごす。

とても孤独である。

 

しかも、勇気を出して病院に行った場合も孤独が必ずしも癒されるわけではない。

話をちゃんと聞いてくれる医者にあたるとも限らない。

不眠に理解のない医者にあたる場合もある。

 

また良い医者に出会ったとしても、睡眠薬が合わなかったり、やめるタイミングを逃して依存や耐性に苦しめられる場合もある。依存や耐性と戦う患者はまさに孤独だ。

 

今まで散々ネガティブなことを書いてきたが、

 

決して

「不眠症ってつらいよね・・・孤独だよね・・・みんなわかってくれないよね・・・」

ということが言いたいのではない。

 

不眠症として社会を生きていくことは過酷だ。

不眠症は楽じゃない。

これは間違いない事実であると思う。

 

それでも、生きていかなければならないのだ。

 

じゃあどうやって生きていくのか。

それを考えなければいけないと思う。

 

不眠症のままなんとかやりすごすという手もある。

また自分の今の睡眠状態で無理なくできる環境に身を置くという手もあると思う。

そして、不眠症にもう一度立ち向かい治療を行うという手もある。

 

どんな方法をとるにしても、まず自分が不眠症であるということを受容することが、

重要であると思う。受容して初めてどうやって不眠症と生きていくのかを考えることができる。

 

僕は今まで不眠症から逃げてきたような気がする。

不眠症であることを見てみぬ振りをしてきた。

見てみぬ振りをしてきたために、体調を大きく崩すというツケが回ってきた。

 

本来は不眠症を治す努力や自分の体の性質を踏まえた上で、

様々な選択をしていれば防げたことだった。

 

同じ過ちを繰り返さないために、

今まで逃げてきた不眠症を受け入れ、そして立ち向かおうと思う。

 

「戦おう、僕達はこの世界で生きていかなければならないのだから。」